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死んだ魚の様な日常
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Posted by - 2024.05.19,Sun
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Posted by No Name Ninja - 2012.04.08,Sun
空気みたいなもんだよ


【存在意義】


そよそよと流れる風を受けてウソップは艦板で絵を描いていた。
心地よい海風と降り注ぐ日差し。これ以上の幸せなど、探しだってきっとそうそう見つかりはしない。

「なにニヤニヤしながら絵描いてんだ?」

風が運ぶタバコの香りと共に、サンジがウソップに声を掛ける。

「あー。サンジー」

ニコニコと相変わらずの表情でサンジを見上げる。
朝食の片付けを終えたサンジは、ウソップの隣に腰を下ろし深く吸い込んだ紫煙を吐き出した。

「今日は何描いてたんだ?」
「イルカとカモメ」
「そんなのが居たのか?」
「うぅん。前に描いた絵を見たら描きたくなったから、この風景に描き込んだんだ」

殊更幸せそうに話すのは、きっと相手がサンジだからだろう。それをサンジも分かっていて、この穏やかな空気を二人でゆっくりと味わう。

「なぁ…」
「ん?」

優しい優しい笑顔で、サンジがウソップに語りかけると、ウソップもそれに応えるように柔らかな返事を返す。

「俺のことも描いてくれよ」
「え…!」

顔を真っ赤にして戸惑うウソップに、サンジは穏やかな笑みを絶やさない。

「良いだろ?」
「…………」
「……いや、なのか?」
「そんなこと!……ない、んだけど…」
「じゃあ決定!ほら、」

正面に向き合えば、俯き目を逸らすウソップ。
どうしてこんな事をするのか、サンジは分かっていて敢えてしてしまう。

「どうした?見ないと描けないだろ?」
「………っ…」

ウソップとサンジは随分前からお互いが好き同士で、付き合ってこそいないもののお互いがお互いをとても大切に想っている。
言葉にして伝える前に、もうそれはこの二人の間で完結してしまっている事なのだ。
付き合うと言うことや、恋人というカテゴリーは、二人にとってそれほど重要な物ではない。
お互いの存在自体が、二人にとって一番大切な物なのだ。

だが、お互いを想いすぎるばかりに、ウソップはサンジのことを恥ずかしくて直視出来ず、サンジはウソップのことを好きすぎて見ていないと落ち着かないのだ。
その為、二人はしばしばこんなやりとりを行うのだった。

「……そんなに、見ないでよ」
「いいだろ。減るもんじゃなし」
「そう言う問題じゃないよ…」
「ウソップは俺を見たくないのか?」
「………」
「ウソップ?」

俯き、一心不乱にサンジを描くウソップ。恥ずかしいので、サンジの言うことを聞こえない振りをして通そうとしているのだ。
が、サンジにそんな事が通用するはずもなく、逆に喜ばせることになっているという事にウソップは気付かない。

「……俺のこと、見ないでもそんなに描けるのか?」
「!!!!!!」

ウソップが真っ赤になってスケッチブックを改めて見ると、そこにはサンジが綺麗に描かれていた。

「あ……その、」
「じゃぁ俺もその位覚えられるようにウソップの事を見なきゃな」
「さ…サンジ!!」

視線をサンジに向ければ、バッチリと目が合ってしまい慌てて逸らそうとする。

「ダーメ。ちゃんと見て」
「~~~っ」

恥ずかしくて恥ずかしくて、逸らしたい視線はサンジに絡め取られ、俯きたい顔はサンジによって両手で頬を挟まれ身動きが取れない。
ウソップはあまりの羞恥に頭の中がパンクしてしまいそうな程だった。

「そんなに恥ずかしいか?」
「恥ずかしいよ」
「ふ~…ん」
「なんだよ……」
「俺は幸せなんだけどな」
「っ!!!」

ニッコリと微笑み、そのままウソップを抱きしめる。

「さ…さささささサンジ?!」
「ん~…?」
「あの、」
「ダメ。もう少し、お前の匂い…」

鼻を掠めるタバコの香りとサンジの匂いがパンクしそうな頭をちょっとだけ落ち着かせるような気がしているウソップは、この状況のせいで一向に思考回路がまともに働かない。
一方のサンジは、抱きしめた感触とウソップの匂いとちょっとの火薬の香りに胸が高鳴るのを感じていた。

好きだと口にしない二人にあるのは、そんな言葉では言い表せない程のお互いを想う気持ちと、もうそんな言葉など必要ない程のお互いの存在に気付いているのかも知れない。



「あれで付き合ってないとか、何なのよあの二人!!」



†end†

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Posted by No Name Ninja - 2012.03.15,Thu


俺は、
どうすればいい?


【さよならセンチメンタル】


先月の14日。
サンジがホットチョコレートを淹れてくれた。
甘い物が好きな俺は、特に何も考えずにそれを受け取った。
こんな大層な物をくれる時は大抵女共のおやつの余りとかそんな事が殆どなのだが、飲み終わった俺にアイツはとんでもない爆弾を落としやがった。

『今日はバレンタインだからな。お返し期待してるぜ』

バレンタインデー…
俺がいた島にはそんな風習は無かったが、カヤから聞いたこともあったし、そういったイベントのある島に行ったこともあった。
と、言うか丁度その時に上陸した島がまさにそれだった。
島により色々と内容は違うらしいが、あいつが俺にどうしてそんなこと言うのか、さっぱり分からなかった。
分からない風を装ったが、気になって仕方がない。
ただの友情で?
だったら他のヤツにも渡したって構わないはずだ。
だがあの日アイツからチョコレートらしき物を貰ったのは、俺と女共だけで…いや確かに余り物だと言われたからそれは当然かも知れない。けれども、それならなんでわざわざイベントの名前を出すんだ?
俺ならばそのイベントの意味を理解し何かしら返しが来るとでも思ったのか。
考えに考えたが、やはり答えはただの余り物。それに何かを期待してはいけないんだ。
だってそうだろう?あいつは自他共に認める女尊男卑だ。
有り得るはずがない。
俺に、何かを望むだなんて。
昔聞いたことがあるんだ。チョコレートには媚薬が入っているって。
だからきっと俺はあいつに何かを期待してるんだ。。
そうだよ。だから本当は期待なんかしちゃいけないんだ。

決めただろ…?
もうずっと前に。

忘れようとした感情が、あいつの一言でまた蘇ってきそうになった。
押し殺したはずの感情。
男の俺が男のサンジに対して抱いてしまった感情。
気付いたその時に諦めたんだ。
だってアイツは女性至上主義。
俺が幾ら想ったって、意味が無いんだから。
なのに…どうしてあんな事言うんだよ。
期待したくなくても期待してしまう。
仮に言われた通りに何かお返しをアイツに渡した所できっと「本気にしたのか?」なんて言われるのがオチだ。
分かってる。分かってるからこそ、余計なことを考えたくないのに、もう、今の俺じゃムリ。1ヶ月前のあの日から。
バカサンジ。おまえの所為だ。どうしてくれるんだ。
応えさせる気もないくせに変なこと言うなよ。
だからって、お返しよこせと言われたことを無視するほど、俺は薄情ではないんだ。残念なことに。
だから、
知らない振りして渡すしかないだろ。
今日は俺が、
お前にお菓子をあげる番。
期待なんてしてない。期待なんかしない。

「期待するほどのもの、用意できなかったよ」

知らない風を装って。
これを渡したらまた、今までの日常に戻ろう。
あの日蘇った感情は、今日でおしまい。
また、この感情を知らない物にして過ごすんだ。
君がなんと言おうと、それは決めてる。
俺が媚薬で見せられたら一時の夢。
ありがとう。
それだけでこの1ヶ月、幸せでした。



†end†
Posted by No Name Ninja - 2012.03.15,Thu
つまりは自分の意志ではないと言うことで、

【フェニルエチルアミン】

チョコを想い人に渡す日なのだと上陸した島で聞かされた。
自分の故郷にもそのような風習があった。いつも疑問に思っていた。
チョコなんて甘党しか嬉しくないものなんであげるのだろうと。
島々で由来はあれど、よく耳にする理由は、チョコレートの原料には媚薬に似た物質があるそうだ。
それを相手に食べさせ、自分を好きにさせるんだとか。
しかし入っていたとしてもごく微力で効力としてはかなり低いらしい。
だがそんなものにも頼ってしまいたいほど、今の俺は…

「ウソップ」
「んー?」
「やるよ」

ダイニングで何やら鞄の整理をしていたウソップさり気なくホットチョコレートを差し出す。

「いいのか?やった!」
「レディ達のおやつの残りだ」

言い訳なんて、言っている自分が少し情けなく感じる。

「それでもかまわねぇよ!」

満面の笑みでカップに口を付ける君。
本当はその笑顔だけで充分だったはずなんだ。
なのに、それ以上を望むようになってしまった…彼の笑顔。自分だけに向けられたのならばと、欲が出てきた。
だから、なんて言い訳にもならないけれど、少しでも意識をして欲しくて、こんな事にすらすがりつきたくなる。

こんなにも想いすぎてしまったのは、きっと昨夜のせい。
仕込みが終わって、男部屋に入った時に見た君の笑顔が、余りにも安らかで幸せそうで、そんな君に触れたいだなんて思ったばっかりに、頭からその欲望が離れなくなった。
あの瞬間、触れていれば何か変わったのだろうか。
いや、きっと今よりもっと酷くこの思考は君に支配されたはずだ。
見つめているだけで良かったはずなのに、見つめ返して欲しい
だなんてなんておこがましい事だろう。
あぁ…
本当に、この頭はどうしてしまったんだ。
でも良いんだ。仕方ないこと。
こいつを好きだと気づいた時点で諦めている。
見返りなんて求めちゃいけない。
だってそうだろう?
男同士で好きあえるだなんて、簡単な訳がないんだ。
どれだけの媚薬に頼ろうと、そこに気持ちが入っていなければ意味がない。
形だけ取り繕ったって…そう、虚しいだけ。
分かっていた。分かっていたはずなのに。
どうしても俺は、何かを期待せずにはいられなかったんだ。
笑顔で残りのホットチョコレートを飲んだウソップに、きっと情けないであろう視線を向ければ、アイツは心配して聞いてくる。

「どうかしたのか?」

って。
だから俺は、何もない風を装って誤魔化すように言うんだ。

「今日はバレンタインだからな。お返し期待してるぜ」



†end†
Posted by No Name Ninja - 2012.03.02,Fri
好きだ。
堪らなく好きなんだ。
だから、

あいつの代わりに
ねぇ、
お願いだよ


【過保護】

笑顔が好きだ、と思ったその日から、君の笑顔が見たくて堪らなくなった。
どんな事をしてでも、笑顔でいて欲しいと、切実に願うんだ。

「へへ~サンジのケーキめちゃくちゃ好き~」

笑顔でそんな事言われたら、嬉しくない筈がない。
だから週に一回は、何かしらのケーキをおやつに作る。
時にはコッソリと「余り物だ」なんて嘘まで吐いて君にだけあげたりもする。

君の幸せの為なら、と君の幸せばかりを望んだ。
どんな事をしてでも、幸せでいて欲しいと、切実に願うんだ。

「サンジの飯食ってるときが一番幸せだな」

笑顔でそんな事言われたら、嬉しくない筈がない。
だから毎日、あいつの好物を何かしらメニューに入れる。
時には嫌いなキノコを出すが、それを嫌がる姿すら愛しいんだけど。

笑っていてよ。
幸せでいてよ。

だから
君が泣くと、俺も泣きたくなる。
君が泣かずに済むのなら、代わりに俺が泣くから。
君の悲しみを全て俺が貰うから。
だから、
笑顔でいてくれよ。

笑顔が金で買えるなら、全財産叩いたって、それ以上だと言うならばそれ以上だって、どんな事をしてまでだって手に入れるよ。
君のため
君のために。

君が苦しいと俺も苦しい。
だから苦しみの全てを俺が担うから、君は笑っていてよ。

哀しいことは半分。
楽しい事は二人分。


どんな些細なことだって、俺が君を笑顔に幸せに出来るのならば、どんな事でも喜んでするだろう。
君のため…違うよ。君の笑顔と幸せのため。
君がもし俺以外の誰かを好きになったとしても構わない。
俺がいなきゃ生きていけなくなれば良いんだ。
君が堕落したって構わない。

好きだ好きだ好きだ好きだ。
好きだよ。
堪らなく好きなんだ。
だから、

あいつの代わりに
ねぇ、
お願いだよ

痛みも苦しみも寂しさも
全部俺にくれよ。

そうなったならば…
あぁ
なんて幸せなんだろう。


あれ…?
それは君の幸せ?
俺の幸せ?

君の幸せに、決まっているよね。



†end†
Posted by No Name Ninja - 2012.02.25,Sat

あぁ…
そうだ。

鼻をかすめるこの

【君が好き】

抱きしめた時に、君の項に顔を埋めるのが好き。
肺一杯に、
君の匂いを吸い込む。
それが幸せ。

「くすぐったいだろ」

照れ隠し。
そんな言葉すらも狂惜しい。
悔しい位に
苦しい位に
君が好き。

「も、いい加減離せよ」

知っている。
恥ずかしいんじゃない。
照れているんじゃない。
それ以上の感情が感覚が
君を支配しはじめる。
それが分かっているから
それがとても嬉しいから
それが俺にも伝わるから
止めるだなんて、
出来やしないんだ。

「っ!」

あ。今…

「バカ!ホントに止めろよ!」

感じた。

「ふざけんな!」
「ふざけてない」
「ふざけてる!」

意地っ張り。
でも
だから
それが

「好きだよ」

この言葉を囁けば、
君が大人しくなることを知っている。

「本当にバカ」
「あぁ…そうだな」

君を好きすぎてバカになった。



†end†


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